サイカーに乗った笑顔が 走り去る あれよあれよと 去っていく 気がつくと 笑顔は一本道の ずっと先の方だった サイカーは思いの外速く 垣間見た笑顔は 一瞬の幻のようだった
忘れた頃に 列車は線路をやってくる 線路は線路で 列車が来る頃になってようやく 自らの仕事を思い出すかのようだった 列車が行ってしまうと 線路の心は再び緩み 歪んだ線路は 脇を歩く女性と 仲良く談笑しているようだった
水不足 水不足と 異口同音に言うけれど バクタプルにも雨が降る 農家は喜び 僕は悲しむ だって雨の中を歩くのはちょっと面倒だし 雨が降っているのに 宿は断水 今日もシトシト雨が降っているのに 宿は断水 今夜もまたシャワー…
おみせばん おみせばん 今日もひとりでおみせばん たったひとりは さびしいけれど 傘があるからへっちゃらさ 雨が降っても 陽射しがきても 傘があるからへっちゃらさ おみせばん おみせばん あしたもひとりでおみせばん
段々になっている 棚田の畦道は 細くて そのうえ 当然のことだけれど 田んぼを囲むようにあって だから すぐそこに 見える場所に行くのにも 思いの外 回り道しなければならなかったりするし よそ者は 思い通りに行けなかった…
マリコンの村は 畦道を通っていった 先にあった 最寄りのバス停からは 歩いて 30分くらいあった もちろん 道中に コンビニなどはない
さぁおうちに帰ろう 雨が止んだから さぁおうちに帰ろう また雨が降ってこないうちに いえに帰れば暖かい 暖かいお兄ちゃんと 暖かいごはんが 待っている
高層マンションの隣には 低くて 灰色の町が広がっていた 駐車場に 瀟洒な車が駐まっている 高層マンションよりも 暑い昼下がりに 道端でおじさんとおばさんが 涼を取っている 灰色の町の方が居心地がよかった