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ベトさんが亡くなりました
ベトちゃんが亡くなった。亡くなった時は26歳だったというから、もう「ベトちゃん」ではく「ベトさん」かも知れない。ベトさんは所謂シャム双生児で、1988年に手術で分離されるまでは弟のドクさんと文字通りひとつの体で人生を送っていた。ひとつの身体にふたつの頭。見るものに衝撃を与えるその姿はベトナム戦争の負の遺産の象徴だった。アメリカ政府がいくら否定しても、ベトさんとドクさんがシャム双生児として生を受けたのはアメリカ軍が散布した枯れ葉剤の影響があるのは間違いないだろう。あまりにも衝撃的であった双子を救うために、日本の医師も援助して分離手術を受けたり、ベトさんが脳症を発祥した際には日本で治療したりと海外からの人道的な援助も多くあったのだと思う。
ベトナムを訪れるまで、ベトさんとドクさんはあくまでも「例外的な」ケースだと思っていた。確かにシャム双生児は特異中の特異かもしれないが、それほどには影響が重くない人は大勢いるのに僕は衝撃を受けたのだった。手首から先が曲がっている人、膝が普通の人と反対に曲がっている人、肘があらぬ方向に曲がる人、街を歩いていると明らかに外国人である僕に、そのような人々は皆寄ってくるのだった。勿論彼らの目的はお金だった。
ベトさんとドクさんはその衝撃的な姿が世界中の耳目を集めたのだけれど、注目を浴びなかった人々もベトさんとドクさんの背後に大勢いるのだ。彼らは今でもベトナムで生活している。
幸か不幸か症状が軽いがために海外からの援助が受けられない。なんだか矛盾しているように思うのは僕だけだろうか。
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