悲しい国
安倍晋三新総裁が出した「美しい国」というタイトルを見る度に「悲しい国」として思い起こす国がある。それは中東にあるヨルダン王国だ。極東に住む人間に、勝手に「悲しい」なんて形容されてヨルダンの人々は怒るかもしれないけれど。
ヨルダンには今まで2回訪れたことがある。人々は親日で優しい。まぁ訪れたのは2回ともイラク戦争前だったので、今でも親日家が多いのかどうかは分からない。訪れた時はイラクとイスラエルという中東の暴れん坊に挟まれたはいるものの、安全な国だった。唯一吃驚したのはヨルダンの首都アンマンでイスラエル行きのバスを探していた時だった。アラビア語の喋られない僕は、ただひたすらに「イスラエル、イスラエル」と連呼していた。するとおじさんが寄って来て、バスを教えてくれるのかと思いきや、僕の胸ぐらをつかんで怒鳴ったのだった。
「イスラエルなんて言うんじゃない。イスラエルなんて国は存在しないのだ。パレスチナと言え、パレスチナと。」
イスラエルがヨルダンの一部を占領し、中東諸国から嫌われているのは、頭では分かっているつもりだったが、そんなに怒られるとは思っていなかった。僕はひたすら平身低頭して非を認めた。
そんなヨルダンがなぜ悲しいのか。それは歴史にある。イスラム教の聖地であるメッカ、メディナ、エルサレムはかつて全てがヨルダンの王家であるハシーム家の領土だった。そのうちメッカとメディナは新興のサウジ家に取られてしまった。ハシーム家はイスラム教の預言者ムハンマドの曽祖父ハシームの一門で、イスラム世界の名門中の名門である。それがぽっと出のサウジ家に領土を奪われたのだ。ちなみにサウジアラビアという国名は、サウジ家のアラビアを意味している。さらには今のイラクもハシーム家のものだった。このことは単に領土を奪われたことを意味する訳ではない。失った土地からは金のなる油が出ているのだ。寝ているだけで金が儲かってしまうサウジ家を見て歯ぎしりしたくなるだろう。
唯一残っていた聖地であるエルサレムまでもがイスラエルに占領されてしまう。残された小さな領土からは石油もなければ、何も残っていない。エルサレムでもあれば、大きな観光収入が見込めたであろうに、それも無くなってしまった。
資源を持たないヨルダンは、我が儘な左隣の国と金持ちの右隣の国に挟まれながら、ひっそりと頑張っているのであった。
フレーズで攻めるという手法は、小泉さんのを承継しているようです。
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コメント
「美しい国」か「うす汚い国」か。
どうも、何か可笑しい。
北朝鮮のクソッタレが火遊びしたり、今にも石油争奪戦争がアメリカの南北で始まるのではないか?とか、イスラエルやレバノンはともかくとして、日本国内に目を向けると、ついこの間、たばこや酒の増税をやったばかりなのに、年金、福祉、医療と、真綿で国民を絞め殺しにかかっている。
石油高騰の折り、運送業界はもちろんのこと二次産業の殆どが苦しんでいる中で、物価高騰の不安を軽減する企業努力に頭が下がる思いだ、と思っていた。しかし、その手ときたら値段を据え置く換わりに、容量を減らすという姑息な手段で対応するしか手がなく、結果的に値上げと同じことになっていることを、どれだけの人が知っているのか。
一方で、総額5兆5395億円というとてつもない無駄金が、国家公務員の天下り先団体の垂れ流しじじいたちのおむつの中へ、補助金交付額として消えている。5兆5395億円だ。5兆5395億円というと一般会計予算全体が82兆円だから7%近い数字だ。
世間がいくら不景気になっても、特殊法人のじじいたちは倒産やリストラからは無縁。それどころか、彼らが生んだ負債総額を貸借対照表などを基に計算すると、382兆9416億円にものぼると言われる。つまり、国民一人当たり300万円の借金を背負っていることになるのだ。しかもそれが、日々増えている。
実態もなく、仕事もなく、ただそこへ名前を置くだけで2500万円の年収が与えられるという。
例えば、ある省庁の事務次官を58歳で退職すると、退職金は約9000万円。その後、特殊法人に8年間いたとする。年収2500万円で計算すると8年分で2億円。特殊法人での退職金は約5000万円。 更に、残りの2年間を公益法人等で過ごすとして、合計の報酬は事務次官クラスは約5億円、局長クラスで約3億円になるらしい。
普通の国民なら、一生かかっても稼げるか稼げないかの金額だ。それをたった10年で手にする。何もしないで。
このところ安倍内閣発足と北朝鮮問題に掻き消された感のある、卑しい地方行政の実態も、やっと氷山の一角が溶け出したようだが、中央も地方も、よって集って国を食い物にしているのが、紛れもない事実なのだ。
毎日、汗して納める血税。この7%近い金が、何もしない垂れ流しじじいの懐へ入ってしまうのだ。従順というかノーテンキなのか、それともそれを知らないのか。国民の多くは、対岸の火事のように日々メール交換を楽しむ。これも実態だ。
さて、「美しい国」をキャッチフレーズにした安倍新首相。
幹事長選出は大失敗であったと、就任早々、あまり評判良くなかったボンボン総理は、なんという強運の持ち主だろうか。そういう星のもとに生まれたと言う人もいるにはいる。
中国、韓国へ早々と訪問した安倍氏も、靖国問題を盾に、またぞろ不利な立場かと思われたが、そのタイミングを見計らったかのように北朝鮮の核実験が行われ、立場が逆転したかのような印象が国民には受け取れた。いかにもタイミングが良過ぎる。
前政権時、犬猿状態であった隣国のおかれる立場が、あの核実験によって一転した。幸運とは言え、ここまでは上手くいったと思う。
しかし、ここが落とし穴だ。
この運気のまま、来年の参院選挙まで雪崩れ込むとなれば、またもや自民党圧勝は確実。そうなれば、行政改革どころか、増税問題が一気に進む。官僚型自民党政治が圧倒して、再び暗闇の中でもがくことになる。「美しい国」は「うす汚い国」になるのだ。
投稿者: 夏海 漁 | 2006年10月11日 11:24