諸行無常の響あり
祇園の町は八坂神社の門前町である。八坂神社と言うよりも、祇園祭りが行われる神社と言った方がイメージが湧くかも知れない。地元の人は祇園さんと呼ぶらしい。もともとは「祇園社」「祇園感神院」と呼ばれていたのが明治元年の神仏分離令(廃仏毀釈運動)により、今の呼称である「八坂神社」に改められたという。
創建は西暦656年といわれているのだから、その歴史は古い。御祭神はスサノヲノミコト、クシナダヒメノミコト、八柱御子神と看板に書いてあるが、これは明治以降の御祭神で、明治以前は牛頭天王(ゴズテンノウ)、沙竭羅竜王(サガラリュウオウ)、頗梨采女(ハリサイニョ)だった。牛頭天王って誰?牛の頭と書くくらいだから、相当に頭の大きい人(?)だったに違いない。僕の中で顔の大きい人というと西郷隆盛かドラえもんなのだが、いかんせんそれだけでは牛頭天王の姿を連想するのは難しい。調べてみると牛頭天王は疫病神の一面を併せ持つ神で、疫病を撒き散らすと同時に親切に迎え入れた農民に対しては万病に効く術を授けたとも言われていることが分かった。そのような腹芸ができるのはドラえもんよりも西郷どんの方が相応しい、ということで僕の想像する牛頭天王は限りなく上野の森に佇んでいる西郷どんに近いものに仕上がってしまった。
姿かたちはさておき、牛頭天王はインドの祇園精舎の守護神なのだそうだ。祇園精舎はインドにあった寺院で、釈迦が説法を行ったとされる場所。そのため門前町が祇園と呼ばれるようになった。祇園はもともと外国の地名だったのね...。「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響あり」なんてあるからてっきり日本古来のものだと思っていた。確かに諸行無常だろう。気がついたら牛頭天王がスサノヲノミコトに代わっているのだから。正確にいうと牛頭天王はスサノヲノミコトと習合したことになっているらしい。いいですね。このアバウトな感じ。「いやぁお互い凄いのだから、ここはひとつ、同じ神さまで良いんじゃないですか?」なんて話し合っているのを想像してしまいます。
日本の神さまは大勢いますから...
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