イエメン
オシム・ジャパンの初めての公式戦の相手はイエメンだった。おお、イエメン!アラビア語では「ヤマン」と呼ばれ、「幸福のアラビア」という意味があるというこの国は、古の時代より交易で栄え、モカの名で世界に広まったコーヒーの産地でもある。モカとはイエメンの南西岸にあった小さな港町の名前なのだ。かつてアラビアで産出されたコーヒーはこの港から船積みされたので、港の名に因んで「モカコーヒー」と呼ばれることになったのだ。コーヒーだけではない。遺跡が好きな僕はイエメンの誇る世界遺産である「砂漠のマンハッタン」に行ってみたいと、もう何年も夢想している。
僕の中でのイエメンは遺跡の国であって、サッカーの国ではない。現在のFIFAランクは132位であることからマスコミは試合前から楽観視する向きもあったが、そこは老練なオシム監督、イエメンだって勝つ可能性があると釘を刺すのを忘れなかった。
試合が始まると予想通り引いたイエメンに対し日本は苦戦を強いられる。引いた相手からゴールを奪えないのはジーコ・ジャパンの時から変わらない。相手が少しでも弱い場合には、いじめのように得点していたトルシエ監督の時代が懐かしい。そういえばトルシエ氏はイスラム教に改宗したんだっけ。ワインの国の人間がムスリムになってしまって大丈夫なのかな。一応の建前として自棄酒の出来ない風習なんてとても苦しい。イエメン代表と対峙していた今日の日本代表も苦しい。ジーコ・ジャパンでは浦和の山田から定位置を奪って以来、不動の右サイドとして出場していた加地も今回は代表に招集され、相手が引いているから高い位置でプレー出来ているのだけれど決定機は演出出来ない。サイドを突破したり、アーリークロスを上げたりするのだけれど悉くクリアされる。積極的に攻撃参加する加地にはかつての面影はない。突破すると見せかけて、はたまたセンタリングを上げると見せかけてバックパスする加地先生の姿には、消極的な自分を重ね合わせていたのだが先生は成長していた。まぁ相手が弱いからかもしれないが。
主導権を握っているのに点が奪えない時はイヤな流れだ。案の定、攻守の切り替えが遅くてカウンターを喰らう場面が多い。日本はサイドから空中戦を試みるが、身長で勝るはずの相手から制空権を奪うことが出来ない。トゥーリオも前線で体を張る。それでも得点出来ない。オシム・ジャパンで一番身長が高いのはトゥーリオじゃなくて、イビチャ・オシム氏なんだよね...。頑張れよ、巻とトゥーリオ。そしてトゥーリオが攻撃参加している時に後ろでカバーしている鈴木啓太。地味だなぁ、テレビの画面にも出て来なくなってしまうし。そんな鈴木啓太は応援したい選手だね。アテネを経由し損ねて、ドイツも経由出来なくて、直接南アフリカ行きだ!
| オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える | |
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