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時計が見えない...

 京葉線に乗っかって蘇我へと向かう。向かう先はフクダ電子アリーナ。サッカーJリーグのジェフ千葉の、あっ、正確にはジェフユナイテッド市原・千葉のホームスタジアムだ。駅からスタジアムに向かう道の先にはキューポラが見える。おぉ、これこそ「キューポラのある街」だ、なんて思っても僕は別にサユリストではない。約18500席のスタジアムは満員で、もちろんそのほとんどはジェフのチームカラーである黄色で埋め尽くされている。ジェフ側のゴール裏からは「ジェフちば〜」コールが聞こえてくる。市原時代からのファンは躊躇いなく「ちば〜」と叫べるのかな。千葉じゃないよ、市原なんだよ、今だって正式名称は市原・千葉だろ〜、と思っているファンは結構いるに違いないと思いながら、僕はアウェイ側、つまりFC東京側のゴール裏へと入って行ったのだった。昨日はジェフ千葉対FC東京の試合だ。
 無駄に大きくないスタジアムは試合の熱気を感じるのには最高だ。ちゃんと満員になるスタジアムからは試合の息吹が伝わってくる。まぁ昨日の試合のように白熱したシーソーゲーム、文字通りのシーソーゲームだったのだ!、ならスタジアムの雰囲気とは関係なく観戦している人の熱気もヒートアップしたかも知れないが。
 開始7分で千葉が早々と2点のリードを奪う。あれれ。ガロ監督解任後最初の試合である東京はなんとしても勝たなければならないはずなのに、出足はこれ以下は無いだろうという出来だった。オシム・ジュニアになった千葉のパス回しは美しかった。敵ながら天晴。と同時に試合の行く末を思うととても暗くなる展開だったのだ。東京はチームプレーの欠片もなく、個人の力量に任されている。誰かがトリッキーなパスを狙うものなら、敵を欺くにはまず味方からと、味方までもが騙されてしまう。そんな中ルーカスの個人技で東京が1点を返す。その時にはまったく感じなかったけれど、これがシーソーゲームの始まりだったのだ。前半は千葉のパス回しに舌鼓を打ちながら、イヤ〜、この内容で1点差の折り返しとはラッキーだなという感じで終了する。
 後半は懐かしの東京のプレースタイルだった。千葉の運動量が落ちたのか、東京のカウンターが決まるようになってくる。赤嶺の泥臭いゴールで同点に追いつくと、75分には石川が逆転弾を突き刺した。ゴール裏のテンションは最高潮に!「仕事よりも〜、とうきょ〜」なんてチャントも飛び出てくる。そのチャントは日曜日には向いていないだろう。平日水曜日の7時キックオフの試合とかで歌った方が似合っているよなと思いながらも、僕の興奮度も高まったのだった。でも試合はまだ続く。最高潮に達したテンションも長くは続かない。84分には羽生にミドルシュートを決められて再び同点になってしまう。遠く黄色で埋め尽くされた観客席は歓喜に沸いているのだが、東京側のゴール裏はとても、とても静かだった。この静けさも僕は好きだ。サッカーは人生だ、なんていう言葉がある以上、スタジアムには喜怒哀楽がなければいけない。この歓喜と悲痛の同居こそ、その瞬間である気がしてならないのだ。しかし試合は終わらない。サッカーの神さま(前日本代表監督のジーコではない)はまだまだ料理を用意していた。89分にはカウンターから徳永のバレンシア仕込みのセンタリングが阿部に渡り、東京がここに来て1点リード!あとはロスタイムが残されているだけ。逃げ切れるかどうなのか時間が気になって気になって仕方がない。しかし!なんてことだろうか。フクダ電子アリーナのアウェイ側のゴール裏からは時計なるものが一切見えないのだ。電光掲示板が見えなくても良い。選手紹介の顔が見えなくても構わない。試合が何対何か分からなくても我慢する。でもあと何分なのかは知りたいのだ!スタジアムの方々、アウェイのゴール裏から見えるところに、小さくてもいいから時計をつけてください...。

俺が近所の公園でリフティングしていたら
俺が近所の公園でリフティングしていたら矢田 容生

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