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過去は忘れるに限る

 突然のニュースだった。1996年に起きたジョン・ベネちゃん殺人事件の犯人が逮捕されたのだ。しかも東南アジアのタイで。犯人は殺意は否定しているもののジョン・ベネちゃんの殺害自体は認めているらしい。大勢の警官と報道陣に囲まれて歩く犯人の姿は、どことなくケネディ大統領暗殺の犯人とされたリー・ハーヴェイ・オズワルドを思い起こさせた。
 すっかり迷宮入りしたものと思っていた事件の解決に驚くとともに、あれだけ報道されていたのは何だったのだろうと不思議な気分にさせてくれるニュースだ。事件が発生した当時、それほど熱心に捜査の動向を気をかけていなかった僕にとって印象に残っているのは「両親が自らの子供に手をかけた」という内容の報道だった。今で言うところのセレブな家庭で起きた事件だっただけに、世間の同情を集めることが難しかったのかもしれないし、そのような事件に仕立て上げた方が世間の歓心を買うとマスコミも計算していたのかもしれない。そう考えていくと先日逮捕されたジョン・マーク・カー容疑者も犯人ではなかったりする可能性もあったりして、良く分からなくなってしまうのだけれど...。
 いずれにしても過去のマスコミ報道は誤報だったということだろう。マスコミという巨大産業が一個人を攻撃してしまったのだ。その反省をマスコミはどうするのかな。訴訟社会のアメリカだけに裁判になって、お金で解決ということになるのかな。
 日本のマスコミだってひどい。かつて日本には1959年から1984年まで日朝赤十字間協定により始まった帰還事業というものがあった。ここでいう「帰還」と在日コリアンの北朝鮮への帰還を指す。金日成が挑戦民主主義人民共和国を地上の楽園と宣伝し、帰国すれば生活保障と雇用があるとして奨励したのだった。「地上の楽園」。だれもがそう信じて、北朝鮮へ向かったのだ。海を渡った在日朝鮮人と日本人配偶者らは約九万三千人にものぼるらしい。そして北朝鮮・朝鮮総連とともに大々的な支援キャンペーンを行っていた新聞社があった。ほんの20数年前のことだ。今では北朝鮮を「地上の楽園」と称したところで、笑い話のネタにしかならないことは日本に住んでいる人なら誰もが知っていることだろう。某新聞社は小さな新聞社ではない。巨大な組織だ。だからそんな過去の過ちなどにこだわったりはしない。過去に「地上の楽園」と称したことなど微塵も感じさせず、今では他のマスコミと足並みを揃えて、立派に国際社会から孤立するかの国を批判している。帰還事業で「地上の楽園」に渡ってしまった人々の苦しみなぞ正義の巨大組織には関係ないのだ。本当に信じているのかな、言葉のチカラを。過去は水に流して、忘れるに限る。そういう言葉のチカラだけを信じているのに違いない。
 あれっ、こういう態度って中国とか韓国のマスコミが批判する日本政府の戦後処理の態度と同じ???

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