幻覚と大名行列
三浦しをんさんのエッセイを読んでいたら、幻覚を見た話が出てきた。高熱でうつらうつらしている時に親指ほどの大きさの人々が大名行列みたいな扮装でちょこちょこと進んで行くのが見えたらしい。おお!大名行列の幻覚。しかもミニサイズ。ミニサイズだとどんなに頭を下げても、大名よりも頭が高いことになってしまう。えぇーい、この無礼者!切り捨て御免!となってしまうのではないかと読んでいる僕は心配になってしまうのだけれど、幻覚にそこまでのリアリズムを求めてはいけないのだろう。そういえば、中島らも氏のエッセイにも大名行列の幻覚を目にした話があったような気がする。中島先生の場合は歴とした麻薬の常習者であっただけにとても冷静に観察していた話だったような気がする。見ている本人もちゃんとそれが現実ではなく、幻覚であると認識しているのだった。その原因に違いはあれど、話がとても似ている。売文稼業の人々は、ミニサイズの大名行列の幻覚を見やすい体質になるのかな。
僕は幻覚を見たことも、幻聴を聞いたこともない。ミニサイズの大名行列なら見てみたいものだ。散らかっている僕の部屋だと、大名行列も山あり谷ありで難所だらけの行程になるだろう。四苦八苦する武士の姿を眺めてみてみたい気はする。中島先生のようにハシシをやれば見ることが出来るらしいのだけれどハシシも吸ったことがない。海外を旅していると、ハシシなら沢山吸う機会が会ったのだけれど一度も試さなかった。まだウブな大学生時代にエジプトのナイル河畔で煙草を吸っている時に近づいてきた男が、
「お前が吸うのは煙草だけか?」
と尋ねてきた時にはすぐには何を言わんとしているのかは分からなかった。イランのテヘランでは目抜き通りで売人が日本語で、
「良い草あるよ〜。」
と大きな声で営業をかけてきた。いくら周囲の人間が日本語を解さないからといって、白昼堂々大声でハシシを勧めてくるのには閉口した。東南アジアでもまた然り。最近は日本でだって繁華街辺りでは簡単に買うことが出来るようだ。あぁ、日本でも幻覚を見るような人が増えているのだろうな。どうせ見るのであれば、見た後で人に話して楽しい幻覚を見てほしいね。
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