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2006年08月30日

高カロリーだな〜

 前のエントリで、ウズベキスタンで氷砂糖をお茶に入れて飲む話を書いた。一杯のお茶がとても高カロリーだったと思う。でも実際に飲んでいる時にはあまり思わなかった。飲んだ時にこりゃ、高カロリーだぜ〜、と思っていたのはイランでの紅茶、チャイだった。
 世は健康ブーム。女の子はいつでもダイエットをしている。そんな中、イランでチャイを飲んだ僕は戸惑った。イランではチャイに角砂糖を入れて飲む。正確に言うと角砂糖を口に含んでから、紅茶を飲む。チャイの入っている器に直に砂糖を入れて、溶かすのはイランでは邪道なのだ。器にポトンと砂糖を入れた瞬間にバレてしまう。「ああ、あいつは地元の人間じゃないんだな。よそ者め。」イランでの由緒正しい飲み方は奥歯で角砂糖を挟んでから、口に紅茶を含む。なんだかお湯を飲んでから、カップ麺をバリバリと食べているみたい。角砂糖とチャイは口の中で初めてハーモニーを唱えだすのだ。余談だけどハーモニーという言葉はギリシャの石材建築に関連がある。もともとは石と石をぴたっと張り合わせることを意味していたのだそうだ。そういえば、ギリシャの遺跡は石と石が奇麗に接合されている。その状態がハーモニーらしい。
 地元の人に教えてもらい、奥歯に角砂糖を挟んでからチャイを口にする。これがなかなか難しい。奥歯に挟んだ角砂糖は、ひと啜りのチャイであっという間に原型を失い、無くなってしまう。たったひと啜りで...。ビギナーである僕は、ひと啜りする度に角砂糖ひとつを奥歯に挟まなければいけないのだ。なんとも高カロリーではないか。地元の人たちはどうやらひとつの角砂糖で長い時間を楽しんでいるよう。むむ、負けられない。そういきり立った僕は何度も何度もチャレンジするが、その意気込みもあっという間に溶けてしまう角砂糖には歯が立たなかったのだ。
 それにしても中東の国々では、表立ってアルコールを飲めないせいか、大の大人も甘いものが大好きです。
 

イランの世界遺産を知るには...

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2006年08月29日

あぐらをかけない人々

 日本から西に向かうと、トルコまでは茶文化圏である。大雑把な表現をすると、トルコより東の国々は、日常の飲み物としてお茶を飲む国である。中国ではもちろん、中央アジアの国々でもお茶を飲む。チャイハナと呼ばれる喫茶店で誰でも気軽に飲むことが出来るのだ。大抵の場合は、チャイハナのお店の中というか、外というか日が当たらないような場所にベッドのような台が幾つかあって、そこに靴を脱いで上がって茶を楽しむことになる。なぜだかちょっとした高床式の喫茶店。中央アジアの諸国で茶は「チャイ」だ。何も言葉が分からなくとも、アジーン・チャイ(アジーンはロシア語で数字の1)とでも店員さんに言っておけば茶が出てくる。喉の乾きを潤せる。
 チャイと一口に言っても、この辺りの国では二種類のチャイがある。カラ・チャイとコク・チャイだ。カラ・チャイは日本で言うところの紅茶に相当し、コク・チャイは緑茶に相当する。どちらを頼んでも急須のような容器と茶碗のような器を持ってきてくれる。でもミルクはない。中央アジアにはミルク・ティはないようだ。その代わり緑茶にも砂糖を入れることがある。
 ウズベキスタンのタシケントを旅していた時、一緒に食事をした地元の人が別れ際に僕にビニール袋を手渡した。手にするとズシリと重い。中を見ると袋一杯に氷砂糖が入っていた。見た感じは水晶のようだ。どうやら僕にくれるらしい。彼は片言の英語しか話せなかったので、言っていることがイマイチ不明瞭なんだけれど、どうやら旅の道中で茶に入れて飲んでくれと言っているようだった。なんといい人なんだ!とひとしきり感激した後、僕はその数キロする氷砂糖の袋を持ち歩いて旅をしなければいけない自分の姿を連想してしまった。宿に帰って、他の旅行者にあげたり、自分でパキパキ折って緑茶に入れたりしたけれど、呪いのように氷砂糖は減らないのであった。
 中東の国々でもそうだけれど、中央アジアでもチャイハナは社交場だ。良い年をしたおじさん方が日の高いうちから、ウダウダと話に興じている。話のネタは近所の不倫話なのか、汚職まみれの政権なのかは残念ながら分からなかった。中央アジアの人々は建前上イスラム教徒になっているようだけれど、町中では普通にウォッカが売っている。でも昼間からアルコールを飲んでいる人は見かけない。大の大人もチャイなのだ。チャイ万歳!!
 旅をしている間、毎日かかさずチャイハナに通っていた。チャイハナでは前に書いたようにベッドのような台に靴を脱いで上がるのだが、ふと僕はあることに気がついた。あぐらをかいている人が誰もいないのだ。正座をしている人やあぐらのような足を組んでいる人はいるのだけれど、正真正銘のあぐらは一人もいない。中央アジアではあぐらをかく習慣がないようだ。と、ひとりごちて僕は砂糖入りの緑茶をズズッと啜っていたのであった。

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一杯の紅茶の世界史磯淵 猛

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コーヒーとヨーロッパ

 学生時代に卒業旅行でエジプトに行った。エジプトへは日本から直行便が無く、パリ経由だった。トランジットに時間があったので、僕は早朝のパリ市内へと向かった。見所である博物館はもちろんのこと、開いているお店はほとんどない、まだ薄暗いパリ市内。数少ない光は朝早くから開いているカフェのものばかりだった。そこで僕はパリジャンと同じようにカフェ・オレとクロワッサンで腹ごしらえをした。パリジャンみんながカフェ・オレとクロワッサンで朝食を済ませるのかどうかは分からない。カフェ・オレもフランス気取りだが、そもそもコーヒーはアラブの世界から来たものだ。
 コーヒーの正確な起源は定かではない。エチオピアのカルディという名前のヤギ飼いの少年が、山中でコーヒーを食べたヤギが興奮状態になることに気づいたことから発見したという説とオマルという名前のイスラム修道者が、追放されて迷い込んだ山中で鳥に導かれて見つけたという説があるらしい。どちらも眉唾物だ。ただ9世紀には既に中東の文献に登場する。アラビアの世界では早くから一般的な飲み物だったようだ。このアラブの飲み物をヨーロッパへと運んだのはトルコの軍隊だった。17世紀にオスマン・トルコの軍勢はウィーンを包囲していた。守勢に廻った神聖ローマ・ドイツ皇帝レオポルト1世とロレーヌ公国皇太子は町から数マイル離れた場所に陣をはり、町の内部にはシュターヘンベルグ伯爵の率いる守備隊が留まってポーランド王国からの援軍を待つことになった。しかし援軍は来ない。その時、連絡係を買って出た一人の男がいたのだった。彼の名はフランツ・ゲオルグ・コルシツキー。トルコ人の服装で身を包み、彼は包囲網を突破してポーランド軍との連絡を取ることに成功し、結果トルコ軍は敗走する羽目になってしまった。一目散に逃げたのだろう。敗走後にはさまざまな物品が残されていた。その中に大量のコーヒー豆があったのだという。当時のヨーロッパではコーヒーを飲んだことがある人間なんていない。変な黒い豆を見ても欲しがる人はいなかった。ただ一人、コルシツキーだけが興味を示し、後にトルコ風コーヒーを飲ませるウィーン初のコーヒーハウスを開店したのがヨーロッパとコーヒーの邂逅だったのだという。猾い男です、彼は。彼はコーヒーのあの酸味を知っていたに違いない。
 トルコ人が飲んでいたトルコ・コーヒーは細かく挽いた豆を濃く煮出して、濾さずにカップに注ぎ、上澄みだけ飲むものだ。これがどういう変化を遂げた結果、カフェ・オレにまで辿り着いたのかは分からない。でもその後、日本でも最後の将軍徳川慶喜のひ孫がコーヒーに携わることになるくらい、世界中に広まっていったことは確かだ。

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2006年08月28日

気象予報士の日

 本日8月28日は「気象予報士の日」だそうです。中島らも氏の「休みの国」という本にはそうあった。半信半疑でネットで調べると、同じような記事をを見つけたので本当なのだと思う。この日が「気象予報士の日」になったのは1994年8月28日に第1回の気象予報士国家試験が行われたかららしい。ちなみにこの時の合格率は18%。TBSでも活躍している森田さんが試験に失敗してしまうくらいの難関だ。TBSといえば、日曜日の夜に放送される「さんまのスーパーからくりTV」が結構好きで家にいると見ていることが多い。時々番組内のコーナーに登場するギターリストのchar氏を見ると、どうしても中島らも氏を連想してしまう。両氏は似ている。歳も近い。髪型だけが似ているのかもしれないが、その髪型が醸し出す雰囲気が似ている気がしてならない。あのロングヘアーからは同じ匂いがする。町中で見かけたら、すぐにはどちらなのか見分けられない自信がある。後ろ姿だけだったら確実に見分けられないだろう。正面を向いていたとしても危うい。手ぶらだったら間違える可能性があるから、ギターを手にしていたらchar氏で、酒瓶を片手にしていたら中島らも氏と、それくらい分かりやすいヒントが欲しい。少なくとも僕にはくれないと分からない。あまりにも似ているから関西と関東で住み分けをしていたに違いない。酔っぱらった挙げ句、階段から落ちて亡くなってしまうなんて、なんともらも氏っぽい亡くなり方だった。らも氏が存命であれば、是非ともchar氏と並んで町を闊歩してもらいたかった。
 有名人の中で僕が見分けられないのには、もうひと組いる。そしてこちらの方が難易度は上だ。その二人とは電撃ネットワークの南部虎弾氏と写真家のアラーキーこと、荒木経惟氏だ。あまりにも活動畑が違いすぎて、一緒にいることは無いかもしれないが、彼らは似ている。間違って荒木経惟氏が電撃ネットワークの写真を撮る仕事を受けてしまったら大変なことになる。個性的な髪型をしているのに、二人とも同じような髪型をしている。町で見かけたら絶対に見分けがつかない。カメラを持っていたら荒木経惟氏だと何となく思えるけれど、南部虎弾氏はいったい何を手にして歩いているのだろう。

お父さんのバックドロップ
お父さんのバックドロップ中島らも 鄭義信 李闘士男

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stars思わず
stars親との仲が気になる人へ。
stars守るべきもの
starsクマ殺しと闘うというのは比喩ではあるが
stars神木隆之介の代表作

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給湯室

 日暮里の駅を出て南千住の方に歩いていくと途中にはEDWINと書いてある建物があった。アパレル・メーカーの株式会社エドウインの本社だ。幼い頃はEDWINというブランドからてっきり外国のブランドだと思っていたけれど歴とした日本のブランドなのだ。調べると1960年代に日本で初めてジーンズを製造した会社とある。通り過ぎようとしたら、中から男性が出てきた。初老の男性だった。アパレル業界で働いている男性なのであろうか、ちょっと小洒落ている。パリッとしたシャツにジーンズだ。ジーンズのポケットにはもちろんEDWINと書かれている。
 ふと疑問が湧いた。この男性は自分の好みで自分が働く会社の製品をはいているのであろうか。それとも社内では自社製品をどこかしらに身に付けないといけないからはいているのだろうか。自社製品を気に入っているということもあるだるけれど、他社の製品だって使ってみたいと思うこともあるはずだ。トヨタの社員だって日頃はカローラに乗っていたとしても、心の中ではポルシェに憧れているかもしれない。そうレクサスのSC430ではなくて、ポルシェにだ。SONYの社員だって齧られた林檎のマークに憧れている人だっているかもしれない。
 それが高じると、もう社内では立派なマイノリティに違いない。アオキの社員がコニカのスーツを着て出社した日には、もう後ろ指を指されるのは確実だ。女子社員は給湯室で囁き合う。
 「ねぇ、知ってる?総務の田中さん、コニカのスーツで会社に来ているのよ。」
 噂の広まりは早い。あっという間に部長の耳に入ってしまう。田中さんはより一層の窮地に立たされてしまうのだった。とある日の午後、部長が田中さんのところにやって来て言う。
 「済まないが、君は来月から小笠原出張所へ赴任してもらう、理由は分かっているね。」
なんてことになりかねない。多勢に無勢。長いものには巻かれよ。サラリーマンは無用な争いは避けるのだ。
 それにしても、やはり下世話な噂話には給湯室がよく似合う。何故だろう。
 

働く女性の24時間―女と仕事のステキな関係
働く女性の24時間―女と仕事のステキな関係野村 浩子

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stars男性が読んでも得るもの多々有
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stars読みやすい連載記事。
stars悩んでいるのは自分だけではない!
stars男性も読むべきです

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2006年08月26日

バンドワゴン

 新型ワゴンの発表です!
 9月1日に正式発表される予定の新型ワゴンは成熟したツーリング機能はもちろんのこと、余裕ある動力性能としなやかな走り、重厚なインテリア、機能性・操作性に優れたユーティリティにより、全ての方に自由な時間を提供いたします。どこまでも乗っていきたくなるこの豊かなドライビングを一度味わってしまったら、もう他のワゴンには乗れません。
 えっ!?
 前の対応からの乗り換えはスムーズかって?それはもう万全です。お客様がご心配なさることは一切ございません。靖国神社には4月に早々とお参りを済ませておきました。他社製品では、消費税云々と申しておるようですが、当社のワゴンでは前タイプと同様に有耶無耶に乗りこなすことが出来るよう配慮されております。また懸案のアメリカ市場に起きましても、事前にマーケティングを念入りに行っております。皆様がご心配されるようなことは何もございません。何せ祖父・父からの技術は全て継承した上に、新しい技術も果敢に取り入れた革新的なワゴンに仕上がっています。出来れば朝鮮半島市場にも食い込んでいきたいと考えてはおりますが、いざという場合には核兵器の使用も違憲ではないと考えております。おっと、口が過ぎました。これは祖父の考えを述べたまでであって、新型ワゴンとは関係ございません。記憶にございません。頑張りましたからね、拉致問題。これでもう世論は味方に付けたも同然と考えております。新型ワゴンが販売された暁には、もうそんな些末なことに関わっている時間は無いかもしれませんが、ご了承下さい。
 なお世論調査では当社の新型に対する支持率が53%で圧倒的な数字を誇っていることも付け加えたいと思います。こんなバンドワゴンになら誰だって乗りたいと思いますよね。ねぇ、二階さん、伊吹さん、丹羽さん、古賀さん?
 英語でBandwagonとは勝ち馬のことだったりするのを付け加えてエントリの最後にしたいと思います。

美しい国へ
美しい国へ安倍 晋三

おすすめ平均
stars唐突に
stars複雑な経緯
stars民主主義の恐さ
starsマスコミを通さず
stars支持基盤

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赤い星

 エジプトの象形文字(ヒエログリフ)は長い間解読不能とされていた。エジプト文明が衰退と同時にその文字を使う人々がいなくなってしまったために誰も分からなくなってしまったのだ。その文字を再び読むことに成功したのは、ジャン=フランソワ・シャンポリオンというフランス人だった。彼の発想が優れていたのは「エジプトの象形文字はある時は表意文字として、またある時は表音文字として働く」と考えた点にある。そこで、まず表音文字としての機能から解読を始めた。彼はエジプト民衆語(デモティック)、ギリシャ語、ヒエログリフの三つの言語で文字が刻まれているロゼッタ・ストーンに刻まれた支配者の名前は言語を越えて同じ音であるはずとの仮説を立て、その解読に成功したのだった。つまり、ラムセスという名の王はデモティック、ギリシャ語、ヒエログリフのいずれでも文字が違うだけで「ラムセス」という音で表されているということである。
 確かに人名や都市名など固有名詞は言語を越えて同じ音で表されることが多い。東京はTokyo、あるいはTokioと記載されるし、アメリカの都市New Yorkは日本語でもニューヨークだ。
 そうなってくると自然と気になるのはその例外の方だ。言語によって同じものの固有名詞の音が違うものの方が気になってくる。手っ取り早く思いつくのは、中国人の名前である。同じ文字を使っているがために、日本での中国人名は中国語の読み方と異なっていることが多い。毛沢東は日本語では「もうたくとう」だけれど中国語では「マオ・ツォードン」、孫文は「ピンイン」と発音されるらしい。もしロゼッタ・ストーンが中国語と日本語の平仮名で記されていたら、シャンポリオンもお手上げだったかもしれない。
 地名でも勿論例外がある。オーストリアの首都であるウィーンだ。かつてヨーロッパの数カ国を支配したハプスブルク家のオーストリア帝国の首都であったこの都市の名は、当地ではWienと書いてヴィーンと呼ぶ。英語では英語ではヴィエナ Vienna、フランス語でヴィエンヌ Vienne。どれも日本語とは違う。日本語の呼び名はドイツ語表記を英語読みしていることになる。
 このようなことは何故だかサッカー・チームの名前でもあるのだ。その不思議なチームは「レッド・スター・ベオグラード」。ストイコビッチも在籍していたこのセルビアの名門チームは日本語ではレッド・スターと呼ばれる。レッド・スターは勿論英語だ。赤い星。ドイツ語ではRoter Stern、スペイン語ではEstrella Rojaと呼ばれ、いずれもやはり赤い星を意味する。その国の言語に紛れてしまうという珍しいチームである。当地ではやはりセルビア語で赤い星を意味する「ツルベナ・ズベズダ(Crvena Zvezda)」となり、これが正式名称だ。一人で繰り返し発音してみよう。
 ツルベナ・ズベズダ
 ツルベナ・ズベズダ
 ツルベナ・ズベズダ
なんだか後半部分がズタズタになってしまい、とても弱そうな響きがしてしまう。だから国ごとに呼び名を変えているのかもしれない。
 ちなみにイタリアのミラノ(イタリア語でもミラノ)に本拠地を置くチームがACミランと英語の地名になっているのは、もともと英国人が作ったクラブだからである。

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ルーマニアの星

 チャンピオンズ・リーグ本戦の組み合わせが発表された。昨年ピッチの内外で戦ったFCバルセロナとチェルシーがまたしても同組になった。チャンピオンズ・リーグの組み合わせにもW杯のような組み合わせの胡散臭さが漂ってきてしまう。この2チームのいるA組にはミクーを放出して、新たにブラジルのジエゴを獲得したブレーメンがいたりして一番の激戦区になるかもしれない。
 本戦に出場が決まった32チームのうち、僕が一番気になるのはステアウア・ブカレストというルーマニアのチームである。なんだか久々にチャンピオンズ・リーグの場に戻ってきたような感がある。調べてみると10年振りの出場らしい。この日本ではマイナーなチームは、さり気なく1985/86年のヨーロッパ・チャンピオンである。東ヨーロッパのチームとして初めてビッグ・イヤーを掲げたことのあるルーマニアの名門チームなのだ。東欧のチームが並みいる西の強豪を倒して、ヨーロッパの頂点に立つというのは余程のことである。実際旧共産圏のチームがヨーロッパを制したのは、このステアウアとレッドスター、今は元日本代表の鈴木隆行が所属しているセルビアの名門チーム、の二つしかない。トヨタ・カップでは残念ながらリバープレートに惜敗し、世界チャンピオンの称号を得ることは出来なかったが、この時代が紛れもなくステアウアの黄金期で1985年から国内リーグを5連覇、その間に3度のカップとの2冠を達成。そして89/90年にも再びチャンピオンズ・カップの決勝に進出するが当時フリット、ファン・バステン、ライカールトのオランダ・トリオのACミランに敗れてしまった。
 ステアウアはもともと軍を母体としたチームであり、ステアウアとは「星」を意味する。そしてその黄金期は悪名高いチャウシェスク大統領の息子ヴァレンティンがクラブ会長に就任した時期と重なっている。でもそんなことは過去のこと。今のチームがどのように運営されているのか分からないが、誰もがあの夢をもう一度と思っていることだろう。今回ステアウアはレアル・マドリー(スペイン)、リヨン(フランス)、ディナモ・キエフ(ウクライナ)と同組だ。レアルとリヨンは言うに及ばず、キエフも侮れない。どこまでやれるか楽しみである。

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2006年08月23日

言ってはいけない

 海外を長期旅行していた話をすると「英語が達者なのですね」と言われるが、決してそうではない。なんだか日本人以外の世界中の人が英語を喋るように思っている人が多いが、観光地ではないところの人はどこの国でも英語が話せない方が多いと思う。中国でも英語がなかなか通じないし(その代わり中国では筆談という素晴らしい手段で会話をすることが出来る)、旧ソ連領だった中央アジアの国々ではロシア語が出来た方が旅が楽しくなる。テヘランのアゼルバイジャン大使館では、大使館員に「ファルシー(ペルシャ語)、トルキー(トルコ語)、ルスキー(ロシア語)!!」のどれかしか分からないと突き放された。またその人にとっての外国語が何かというのも国によって異なる。日本人にとっての外国語とは英語である場合が多いし、大抵の国でもそうだと思われる。がしかし、トルコ東部を旅している時には明らかに外国人である僕に対して、町中でドイツ語で話しかけてくる。彼らにとって、外国人と話すための外国語とは英語ではなくてドイツ語なのだ。
 外国を旅する時に、その国の言葉を話せると旅が楽しくなることは重々承知だがそれは難しい。だから僕はあまりこだわらないことにした。どうせ通じないのなら日本語でいいじゃないかと。
 結局のところ、旅行中の伝えたいことって身振り手振りで何となく伝わってしまうものなのだ。だから口から発せられる言語は日本語でいい。しかし日本語の中には、その国の言葉では卑猥な言葉になってしまうものもあるから注意が必要だ。あらぬ誤解を招くかもしれない...。
 本やインターネットで調べた「あらぬ意味を持ってしまう可能性のある言葉」を幾つか書いてみよう。
 まずはタイ語から。タイなどの東南アジアの女性には奇麗な人が多い。奇麗な人ばかりとはもちろん限らないが、奇麗な人に巡り会う可能性は高いのではないかな。どれほどその女性が美しくても、日本語で「キレー」と言ってはいけない。「キレー」とはタイ語で「醜い」を意味する言葉に限りなく発音が似ているらしい。上手くこの関門を乗り越えた後に、タイ人女性から「チンチン」と言われても想像が膨らんではいけない。「チンチン」とは「本当に」という意味しかないからだ。
 ベトナムでアオザイを纏った女性が公園で「チム・ボコ、チム・ボコ」と声を上げていても、ああ〜、奇麗な人なのに頭の痛い人なのだなぁ、と思ってはいけない。ベトナム語で「チム・ボコ」とは鳩のことだ。
 イタリアのちょい悪オヤジと話をする時は、サザエさんのネタは避けた方が良い。ましてや加賀さんはイタリア人と接することも避けた方が好ましい。イタリア語で「いそのかつお」は「私はオチンチンです」を意味し、「カガ」は「クソしろ」となってしまう。加賀さんが「いそのかつお」の話をした日には、ジローラモさんも真っ青である。
 えびちゃんはロシアには行かない方が良い。自己紹介する度に、相手の男性は赤面してしまうだろう。ロシア語で「エビ」は女性器のこと。自分の名前を連発したら、ただ単に痛い人になってしまう。
 熊本出身の人はケニアやタンザニアなど東アフリカに旅行する時は要注意だ。「どこから来ました?」「クマモトからです」「あらまぁ...」。あながち間違っているとも言い切れないだけに厄介だ。スワヒリ語で「クマモト」は「あったかい女性器」を意味する。
 スペインを旅している時に、仲良くなった地元の人と酒を酌み交わすこともあるでしょう。たとえその時に何か日本の歌を歌ってくれとせがまれても「ちょうちょ〜、ちょうちょ〜、菜の葉に...」と知らずに歌ってはいけません。確信犯で歌うのであれば大賛成です。歌声を耳にした人たちは大爆笑することでしょう。スペイン語で「チョウチョ」は女性器のことです。
 他にも調べたら沢山あるのだろうけれど、下らないのでこの辺で...。 

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将軍家と吉野家

 小金井にある江戸東京たてもの園は江戸時代から昭和初期までの建物が建ち並んでいる。復元されたものもあるが、全ての建物は実際に使用されていたものだ。農家もあれば、瀟洒な住宅もあるし、昭和の看板建築の商店を移築したものもある。ちょっとした住宅展示場のようなものだ。
 古い建物の中には江戸時代後期に建てられた吉野家という建物がある。吉野家と言っても「早い、美味い、安い」の吉野家とは関係がない。現在の三鷹市の名主役を勤めた格式ある吉野さんの家を移築したものである。江戸時代には多摩地域は尾張徳川家の鷹狩場であった。余談だが三鷹という名前の由来も徳川将軍家及び御三家が鷹狩を行なった鷹場の村々が集まっていたことと、世田谷領・府中領・野方領にまたがっていたことに由来する(三領の鷹場)とする説がある。うひゃうひゃと鷹を追かけて疲れきってしまったお殿様ご一行がこの吉野家で休息を取られたのだ。重ね重ね書くが決してお殿様は
 「特盛り、ツユダク。」
とやっていた訳でない。でもこの家を舞台に「目黒のさんま」のようなストーリーが展開されていた可能性は否定できない。世間知らずのお殿様は思うのだ。「鷹とさんまは三鷹に限る」と...。
 吉野家の内部には、当時将軍が休息したとされる部屋がある。床の間があって農家の中に書院造り風の部屋があるのだ。壁には釘隠しもされているし、畳も他の部屋とは違って豪華なものが使われている。驚くのはその部屋は家の主である吉野家の方々も使用していなかったということだ。その部屋は将軍家のために普段は使用していなかったという。さらには玄関も立派な造りのものがあるのだけれど、それも吉野家の面々は使用しなかったらしい。これではこの家が吉野家のものではないような気がしてしまう。まぁそう言い伝えられているだけで、実際には吉野家の人もその玄関から家に入り、将軍家用の部屋で寛ぎ、殿様ごっこをしていたのかもしれない。いや、していてほしい。

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starなるほどガウディは、すばらしい

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2006年08月22日

星いくつ?

 イタリアのセリエAでは昔からユニフォームに星を付けるのというのがあった。どのチームでも付けられる訳ではない。星を付けるのにはルールが決まっている。セリエAを10回優勝して初めて星をつけることが許されるのだ。今のところ「ラ・ステッラ」(la stella、イタリア語で「星」)と呼ばれる金色の星の刺繍を付けることが許されているのは27回の優勝を誇るユヴェントス(今シーズンはセリエBですな、ははは)、優勝17回のACミランと優勝14回のインテル・ミラノの3チームだけである。三浦知良選手がプレーしていたこともあるジェノアは、1898年、1899年、1900年、1902年、1903年、1904年、1914/15年、1922/23年、1923/24年と9度優勝しているが、残念ながら1回足りない。今後星をつける可能性はあるのかな。
 先のW杯を見ていたら代表チームも星を付けているのに気がついた。昔のユニフォームには付いていなかったのに、気がついたらブラジルは五つ、ドイツは三つ、イタリアも三つ、アルゼンチンは二つ、イングランドとフランスは一つ付けている。優勝経験のある国はその優勝回数だけの星を付けている。揃いも揃って優勝国が星を付けていたのは何か取り決めが取り交わされたためなのかどうなのかは分からないし、W杯に出場できなかったウルグアイのユニフォームにも星が付いているのかは分からなかった。いずれにせよ、俺たちゃ優勝したことがあるんだぜ、へへ、と何かしらの威厳というか栄華の証をユニフォームに付けたいと思う人がいたのだと思う。なんだか軍服に付けられた勲章のようだ。
 話はそれるが、僕には気になるチームがある。それは昔住んでいたことのあるドイツはデュッセルドルフにあるサッカーチーム、Fortuna Duesseldorfというチームだ。僕が住んでいた80年代は歴としたブンデスリーガのチームであったのに、90年代に入ってからは凋落してしまい、今ではRegionalliga Nordというアマチュアの地域リーグでくすぶっている。そのチームがなんと、新シーズンのユニフォームからエンブレムの上に星を付けているのだ。おお!俺たちゃそんじょそこらのアマチュア・チームとは違うのだぞ!俺たちはドイツ・チャンピオンにも輝いたことのあるチームなのだぞ!突然ユニフォームで自己主張をし始めているのであった。素晴らしい!願わくは早くその自己主張をブンデスリーガの舞台で見てみたいものだ。何せただ1度ドイツ・チャンピオンに輝いたのはナチスが政権を取った1933年のことなのだから...。

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魔女の1ダース

 「魔法使いの集会に行ってみませんか」
この本の出出しはこう始まる。魔法使いの集会...なんとも蠱惑的な響きである。エッセイのタイトルからして「魔女の1ダース」だ。登場する魔女は「魔女の宅急便」に出てくるような箒を持った優しい魔女ではないだろう。だって集会してしまうのだ。そりゃ本格的な魔女ならば、箒で空を飛ぶことなんかとうの昔に飽きてしまっている。彼女たちの関心は、いかにお洒落に空を飛ぶことになんかにはもうないのだ。今一番の関心事はきっと世界征服に違いない。しかも誰にも気づかれないようにそっと世界を支配する手段を練っているのに違いないのだ。
 なんてことを書いたけれど、この本は最新の魔女の動向に関する調査報告書ではありません。米原万里さんのエッセイ集です。彼女は子供時代を父の仕事の関係でチェコスロバキア(現チェコ)のプラハで過ごしたいわゆる帰国子女である。プラハではソ連の外務省が直接経営する外国共産党幹部子弟専用のソビエト学校に通ってロシア語で授業を受けたのだという。日本に帰国後、東京外国語大学、東京大学大学院で学んだ米原さんはロシア語の通訳をすることになり、そこで経験したことをエッセイで綴るようになった。
 米原さんのエッセイには多くの小咄が登場する。ただ可笑しいだけではない。そこには必ずと言っていいほど揶揄が入っているのである。そしてその揶揄は権力者や強者に対して向けられる。日本という社会と、共産圏という社会の違う価値観の中で過ごした経験のある米原さんは、異なる世界観や価値観の片方を無意味に持ち上げたりはしない。狭間で揺られながら冷静にその両方を観察し、そのどちらに対しても毒を吐く。世の中に毒舌の人は多いけれど、その毒の中にウィットを混ぜることの出来る人はそうそういない。惜しい人を亡くしたものである。

魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章
魔女の1ダース―正義と常識に冷や水を浴びせる13章米原 万里

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stars勉強になりました。
stars読まなきゃ損
starsロシアとは何か
stars必読
stars世界はひとつ、ではない。ハラショー

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2006年08月21日

海のない国

 中央アジアのウズベキスタンという国を訪れた時のこと。日本に荷物を送ろうと思って郵便局を訪れた。ウズベキスタンは周囲をカザフスタン、キルギス、タジキスタン、アフガニスタン、トルクメニスタンに囲まれた内陸国だ。海はない。にもかかわらず窓口のおばちゃんは「航空便か、船便か?」と訊いてくる。僕は耳を疑った。内陸国のウズベキスタンから船便を出すとはいかに!?この国はアラル海という一応の海に接しているけれど、アラル海は他の海とはつながっていないし、年々干上がっていて小さくなっているはずだ。近い将来に消滅してしまうとされるアラル海に出る船に郵便を載せるというのか。僕の荷物を積んだその船は日本への航路を求めて、永遠にアラル海を彷徨い続けるに違いない。「船長!日本への航路が見つかりません!」
「そんなはずはない。どこかに日本へ通ずる道があるはずだ!」
船上ではこのような会話が日々続けられるのだ。仕舞いには「む、無念じゃ」と船員も死に絶えてしまい、幽霊船になってしまうのだろう。もちろん荷物はいつまで経っても届くことはないのだ。訝しがる僕をよそにおばちゃんはもう一度無愛想に「航空便か、船便か?」と質問を発している。内陸国なのに船便とは納得がいかないと思った僕は結局、航空便で荷物を出したのであった。
 友人に話をしたところ、内陸国でも船便というのは存在であるとの教示を頂いた。内陸国の場合には、鉄道かトラックかでどこかの港町まで陸路で郵便を運び、そこから船に積んで正真正銘の船便になるとのこと。ウズベキスタンだとどの港まで運ぶのだろう。ロシアのウラジオストック辺りまで運んでしまうのかもしれない。ウラジオストックからは船で新潟へ。そうなったら確かに船には積まれるけれど、行程の大部分は陸路ではないかと独りごちるのであった。
 本を読んでいると、内陸国の船便よりもずっと理不尽なものを見つけた。それは「内陸国の海軍」だ。自らの国は海に接していないのにもかかわらず海軍を持っている、そんな国が世界にはあるのだ。その国は南米にあるボリビア。ボリビア海軍は約3500人もの兵力を備えているのだという。かつてボリビアは太平洋側まで領土を持っていたのだが、1904年にチリとの武力衝突に敗れた結果、領土を奪われて内陸国になってしまった。そのためいつの日かチリから太平洋に面した港町を取り返した時のために虎視眈々と海軍を保持し続けているらしい。内陸国になって既に100年も経つ。それでも諦めがつかない。ボリビア人にとって今でも海は憧憬の的なのだ。ボリビアが軍港を持てる日が来ることを願うばかりである。

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時計が見えない...

 京葉線に乗っかって蘇我へと向かう。向かう先はフクダ電子アリーナ。サッカーJリーグのジェフ千葉の、あっ、正確にはジェフユナイテッド市原・千葉のホームスタジアムだ。駅からスタジアムに向かう道の先にはキューポラが見える。おぉ、これこそ「キューポラのある街」だ、なんて思っても僕は別にサユリストではない。約18500席のスタジアムは満員で、もちろんそのほとんどはジェフのチームカラーである黄色で埋め尽くされている。ジェフ側のゴール裏からは「ジェフちば〜」コールが聞こえてくる。市原時代からのファンは躊躇いなく「ちば〜」と叫べるのかな。千葉じゃないよ、市原なんだよ、今だって正式名称は市原・千葉だろ〜、と思っているファンは結構いるに違いないと思いながら、僕はアウェイ側、つまりFC東京側のゴール裏へと入って行ったのだった。昨日はジェフ千葉対FC東京の試合だ。
 無駄に大きくないスタジアムは試合の熱気を感じるのには最高だ。ちゃんと満員になるスタジアムからは試合の息吹が伝わってくる。まぁ昨日の試合のように白熱したシーソーゲーム、文字通りのシーソーゲームだったのだ!、ならスタジアムの雰囲気とは関係なく観戦している人の熱気もヒートアップしたかも知れないが。
 開始7分で千葉が早々と2点のリードを奪う。あれれ。ガロ監督解任後最初の試合である東京はなんとしても勝たなければならないはずなのに、出足はこれ以下は無いだろうという出来だった。オシム・ジュニアになった千葉のパス回しは美しかった。敵ながら天晴。と同時に試合の行く末を思うととても暗くなる展開だったのだ。東京はチームプレーの欠片もなく、個人の力量に任されている。誰かがトリッキーなパスを狙うものなら、敵を欺くにはまず味方からと、味方までもが騙されてしまう。そんな中ルーカスの個人技で東京が1点を返す。その時にはまったく感じなかったけれど、これがシーソーゲームの始まりだったのだ。前半は千葉のパス回しに舌鼓を打ちながら、イヤ〜、この内容で1点差の折り返しとはラッキーだなという感じで終了する。
 後半は懐かしの東京のプレースタイルだった。千葉の運動量が落ちたのか、東京のカウンターが決まるようになってくる。赤嶺の泥臭いゴールで同点に追いつくと、75分には石川が逆転弾を突き刺した。ゴール裏のテンションは最高潮に!「仕事よりも〜、とうきょ〜」なんてチャントも飛び出てくる。そのチャントは日曜日には向いていないだろう。平日水曜日の7時キックオフの試合とかで歌った方が似合っているよなと思いながらも、僕の興奮度も高まったのだった。でも試合はまだ続く。最高潮に達したテンションも長くは続かない。84分には羽生にミドルシュートを決められて再び同点になってしまう。遠く黄色で埋め尽くされた観客席は歓喜に沸いているのだが、東京側のゴール裏はとても、とても静かだった。この静けさも僕は好きだ。サッカーは人生だ、なんていう言葉がある以上、スタジアムには喜怒哀楽がなければいけない。この歓喜と悲痛の同居こそ、その瞬間である気がしてならないのだ。しかし試合は終わらない。サッカーの神さま(前日本代表監督のジーコではない)はまだまだ料理を用意していた。89分にはカウンターから徳永のバレンシア仕込みのセンタリングが阿部に渡り、東京がここに来て1点リード!あとはロスタイムが残されているだけ。逃げ切れるかどうなのか時間が気になって気になって仕方がない。しかし!なんてことだろうか。フクダ電子アリーナのアウェイ側のゴール裏からは時計なるものが一切見えないのだ。電光掲示板が見えなくても良い。選手紹介の顔が見えなくても構わない。試合が何対何か分からなくても我慢する。でもあと何分なのかは知りたいのだ!スタジアムの方々、アウェイのゴール裏から見えるところに、小さくてもいいから時計をつけてください...。

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俺が近所の公園でリフティングしていたら矢田 容生

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2006年08月20日

タンのつく国

 沖縄料理屋で深酒してしまった。沖縄料理と言えば泡盛だ。入れたボトルが一夜で空いてしまった。僕一人で飲んだ訳ではないけれどね。というよりもあっぷあっぷしていた僕はパッション・フルーツ割というとてもフルーティで甘い飲み物を飲み続けていたのだった。最近は焼酎ブームのようだけれど、僕は泡盛の方が好きだ。焼酎は匂いがね、あまり好きになれない。
 焼酎というと僕は鍛高譚(たんたかたん)という銘柄を思い浮かべてしまう。これはしその香がとても飲みやすいとされる焼酎なのだが、やはり僕にはその香りが苦手だ。僕が気に入っているのはその味ではなく、その名前の響きなのだ。タンタカタン、タンタカタン。とても陽気な響きがする。そう口ずさんでいると僕はかつて旅した「タン」のつく国のことを思い出すのだった。
 ウズベキスタン、カザフスタン、トルクメニスタン、旅してはいないけれどアフガニスタン、タジキスタン、パキスタン。これら中央アジアの諸国の国名には最後に「(ス)タン」がつく国が多い。「(ス)タン」とはペルシャ語で「何でも豊かにある土地」という意味が元々あって、それが「〜族の土地(国)」とかの意味で使われている。つまりそれぞれの国名はウズベク族の土地、カザフ族の土地、トルクメン族の土地、アフガン族の土地などの意味を持っているのだ。これらの国では、かつてペルシャ帝国の一部であったか、もしくはペルシャ帝国の影響を受けた土地であることの証拠だという。カザフ族やウズベク族は民族的には、テュルク系で話す言葉はトルコ語に近いと言われているが、自らの国名にはペルシャ語の語彙を流用したのだ。そう考えていくと、ペルシャの親元であるイランには「(ス)タン」が付かないことに気がつく。イランという国名はゾロアスター教の聖典「アヴェスター」の中に記された「アーリア人の国」という言葉に由来があるらしい。この言葉自体に「国」という意味が包含されているので「(ス)タン」が付いていない。
 残念ながらタンザニアの「タン」はペルシャ語ではない...。

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あぐり

 現在スーパーアグリF1チームのオーナーとしてF1に参戦している鈴木亜久里氏がF1で注目を浴びだした頃、「亜久里」とはなんて変わった名前なのだろうと思っていた。「あぐり」という音からすぐに連想してしまったのは英語のuglyだった。でもそんな変な意味を子供につけるはずはないだろう。次に連想したのは、やはり英語のagriculture。いくら日本が農耕社会から発展した社会だとしても息子に農業・農耕なんて名前をつけるであろうか。ネットで検索してみると鈴木氏の名前の由来は根本進氏の漫画「クリちゃん」に登場する兄弟、アッチャンとクリチャンだという。そんな漫画知らなかった...。
 いずれにしても「あぐり」なんて非常に個性的な名前だなぁと思っていたら、日本では結構この名前の人がいるらしい。しかも一般的には女性の名前のようだ。
 歴史上の人物では赤穂浪士事件に登場する浅野内匠頭長矩の妻の名が阿久里であった。四十七士が吉良上野介を討ち取って幕命により切腹したあと、彼女は伊豆大島へ流された赤穂浪士の遺児たちの赦免運動に尽力したらしい。
 三浦しをんさんの本によると、「あぐり」というのは鎌倉時代から文献に登場する古い名前で「女の子はもうこれ以上いらない。この子で女の子は最後にしたい」という時に付けられた名前らしい。「止む」「終わる」という意味で「生みあがり」から変形して「あぐり」という名が出来たのだそうだ。つまり男の子につける留吉みたいなものなのだ。
 海外の名前にも同じような意味を持つものがある。Benjamin(ベンジャミン)がそれだ。旧約聖書に登場するヤコブの子供で、彼が末っ子だったことから一般的にはBenjaminは末っ子につける名前とされるのだ。
 でも子供を作るときって、図らずも出来てしまうこともあるのじゃないかな。留吉にしてもBenjaminにしても、その名を持つ人が末っ子でなかったら、それは両親が家族計画に失敗したことを意味している可能性が大なのだな。

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2006年08月19日

白いドレスの女性

 僕には霊感というものがない。学生時分には幽霊なるものを見てみたくて、見てみたくして仕方がないあまり、深夜にいわゆる心霊スポットに赴いてみたりしたこともあったけれど、それでも巡り会うことは出来なかった。一緒に東京は大手町にある将門塚を訪れた時には、夜中の二時くらいに行ったのにもかかわらず上下ジャージで身を包んだおじさんがいて、平将門の歴史と将門塚の由縁を熱心に説明してくれたのが何よりも怖かった。いい加減に聞いているとなんだか説教されてしまいそうで。おじさんは一体何者だったのだろう。熱心過ぎるボランティアというのも怖いものがある。その時も同行したひとりが後になって「首が置いてあったよね」と抜き差しならぬ発言をしたけれど、僕には全く見えなかったのだ。おじさんに神経を集中しすぎていたからかもしれない。
 そういうものには幸か不幸か縁がないと思っていたのだけれど、昨年末に見てしまったのだ、幽霊を。あれは幽霊だったと思う。いや幽霊であってほしい。見たのは友人のマンションだった。皆で鍋でもしようということになって集まった。皆で色々と鍋の準備をしていると、ふと視野の端の方に窓の外を歩く白いドレスの人が入った。涼しそうだった。ほんの一瞬の出来事だった。それがおかしいのだ。時期は真冬だったし、見えたのは友達のマンションで4階だった。その時部屋にはもう一人いたのだが、見た瞬間、僕は見てはいけないものが見えてしまったと思い、もう一人には何も告げなかった。するともう一人が突然口を開いた。
 「今、人が歩いていたよね?」
見えたのは僕だけではなかった。二人でどんな人が歩いていたのかを子細に話し合った結果、二人が見たのは同一人物だという結論に達したのであった。二人して、全然怖そうな感じでなかったことも、ちゃんと付け加えるのを忘れなかった。
 そう。その人(?)は全然怖くなかったのだ。幽霊と言うとどうしても四谷怪談に出てくるお岩さんのようなおどろおどろしい雰囲気を持つ人物を想像してしまうのだが、今回で学んだ。幽霊が恐いとは限らないのだ。今回であった人は、何も声を発しなかったのだけれど、勝手に台詞をつけるとしたら
 「ごきげんよう。」
という感じだった。なんだか軽井沢ですれ違ったかのような雰囲気だったのだ。家の主もそう言われれば見たことがあるような気がするけれど、強烈な印象ではなかったから特に気に留めていなかったらしい。優しい幽霊なのだ。残念なことに友人はそのマンションから引っ越ししてしまったのでもう会えない。次にあの部屋に住んだ人も、優しくあの人に接してもらいたいなぁ。

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幻覚と大名行列

 三浦しをんさんのエッセイを読んでいたら、幻覚を見た話が出てきた。高熱でうつらうつらしている時に親指ほどの大きさの人々が大名行列みたいな扮装でちょこちょこと進んで行くのが見えたらしい。おお!大名行列の幻覚。しかもミニサイズ。ミニサイズだとどんなに頭を下げても、大名よりも頭が高いことになってしまう。えぇーい、この無礼者!切り捨て御免!となってしまうのではないかと読んでいる僕は心配になってしまうのだけれど、幻覚にそこまでのリアリズムを求めてはいけないのだろう。そういえば、中島らも氏のエッセイにも大名行列の幻覚を目にした話があったような気がする。中島先生の場合は歴とした麻薬の常習者であっただけにとても冷静に観察していた話だったような気がする。見ている本人もちゃんとそれが現実ではなく、幻覚であると認識しているのだった。その原因に違いはあれど、話がとても似ている。売文稼業の人々は、ミニサイズの大名行列の幻覚を見やすい体質になるのかな。
 僕は幻覚を見たことも、幻聴を聞いたこともない。ミニサイズの大名行列なら見てみたいものだ。散らかっている僕の部屋だと、大名行列も山あり谷ありで難所だらけの行程になるだろう。四苦八苦する武士の姿を眺めてみてみたい気はする。中島先生のようにハシシをやれば見ることが出来るらしいのだけれどハシシも吸ったことがない。海外を旅していると、ハシシなら沢山吸う機会が会ったのだけれど一度も試さなかった。まだウブな大学生時代にエジプトのナイル河畔で煙草を吸っている時に近づいてきた男が、
 「お前が吸うのは煙草だけか?」
と尋ねてきた時にはすぐには何を言わんとしているのかは分からなかった。イランのテヘランでは目抜き通りで売人が日本語で、
 「良い草あるよ〜。」
と大きな声で営業をかけてきた。いくら周囲の人間が日本語を解さないからといって、白昼堂々大声でハシシを勧めてくるのには閉口した。東南アジアでもまた然り。最近は日本でだって繁華街辺りでは簡単に買うことが出来るようだ。あぁ、日本でも幻覚を見るような人が増えているのだろうな。どうせ見るのであれば、見た後で人に話して楽しい幻覚を見てほしいね。
 

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